'03-'04 liga-cl-serieA 3
3.11 ロンドン~ミラノ
ロンドンを発つ朝。ニュースペーパーを読んで、ショック!!
CLの結果に愕然とした。レアルは手堅く勝利だったけれど、マンチェスターUがポルトに敗れ、ユーヴェもデポルティーボに敗れ、共に決勝R進出はならなかった。
こんなに早く我が(?)マンUがいなくなるとは!
心は暗い。
外も暗い。。
早朝、朝食もとれず(TT)空港へと出発する。ロンドン・ヒースロー空港からミラノ・マルペンサへ。ミラノの空にさしかかると‥‥景色は白かった。
雪景色。どうやらイタリアは大雪が降っていたらしい。雪が雨に変わって、その雨もすでに止んでいた。空港リムジンバスでミラノ中央駅へ。すっかり通い慣れてしまったルートである。(おそろしや‥)駅至近のホテル「ミニアオスタ」にチェックイン。
部屋のテレビをつけると、物々しい映像。スペイン・マドリッドで起きた爆破テロを知った。列車3箇所。死者約180名とも伝えるニュースを見ながら、はたと気づく。マドリッドでは、ちょうどレアルvバイエルンがあったではないか。選んだ試合が違っていたら、自分も今頃マドリッドにいたかもしれない。ニアミス。正直、ほっとした。
はっと気づくと電話のコールがけたたましく鳴っていた。チケットの手配を頼んでいるM氏からだった。
朝が早かったためかロンドンまでハードだったためか、ホテルに着いたとたんに睡魔に襲われ、かなり仮眠をしてしまっていたのだ。
チケットをホテルに届けてくれることを思い出し、慌ててロビーへ。ユーヴェvミランのチケットを受け取りながらツアーの情報を聞く。当初、列車移動の都合で時間的に無理だとあきらめた試合、それを含めた車での移動ツアーがあると聞き、ほんの数分の検討の結果、またしても急遽1日2試合観戦を決めてしまった(おそろしや~)
また楽しみがひとつ増えた。
そして、もう一人のメール友達、Flubioに電話をする。イタリア人に電話するのは2回目だが(一度はトラブルで何かの事務所に電話したっけ)やっぱり緊張する。それでも受けたのが本人だったので、ほとんど日本語で会話が成立。約束どおりヴェネチアで会うことにしてCiao!
‥そして、また寝るzzzzz。
3.12 ヴェネチア観光
イタリア一日目。午前、ミラノ中央駅から国鉄でVeneziaへ。ミラノーヴェネチア、インターシティで片道約13ユーロ。昼ごろにはサンタ・ルチア駅に到着した。
プラットホームの先で、背の高い見覚えのあるようなイタリア人が視線を交わしてきた。
「Fulbio?」
「ハイ」
おーー。シェイクハンド。
とりあえずランチをとりに、サンマルコ広場を抜けて安い店へと足を運ぶ。Fulbioは「サンマルコ広場で食事する日本人は、バカネ~」としきりに言っていた。値段高いものねー。
迷路のように入り組んでいる道は、絶対一人で歩いたら迷う。すでに方向感覚を失くした私は、ついていくだけ状態で、そんな風に歩きながらも色々な話をする。時折、日本語が分からなくなると伊和辞典を出してくる(笑)。彼が選んでくれたリーズナブルなピッツェリアで本場パスタを頂きながら、さらにアイヌ語の勉強をしていることや将来の話などを聞く。将来は日本に住んで働きたいらしい。学校で勉強している甲斐があって日本語会話もほとんど問題なく、方言なんかも知っているので笑える。アイヌ語について語り始めるとキリがないような、ちょっとウンチク家だった。
ランチを終えて、島のお勧めの所を案内してもらう。観光客があまり歩かないような、静かな公園。そして、私がサッカー好きだと知っているので、ヴェネチアのStadioにも連れて行ってくれた。

外側からほんの一部しか見られず、全体像などあまり分からなかったが、草サッカー場?みたいな随分寂れている印象を持ってしまった。試合で人が入ればまた違うのだろうが、セリエAから離れて久しいから改装もないのかな。確かナナミがいた時に紹介されたことがあるが(Fulbioもナナミを覚えていた)実際は、もっと小じんまりとしていた。
散策の後は、ソド島に行きたいと言ってヴァポット乗り場で船を待つ。が。
"ショーペロ"だった。出たよ、イタリア。ストは国鉄だけではないのだ。さらにゴンドラさえも一部を除いてストライキらしい。仕方ないので、街中を歩きながら駅方向へ戻っていく。
途中、何だかうざい子供に気がついた。私たちの後ろをぴったりとついて歩いてくる。ショルダーバックがひっかかるような違和感。日本で言うところの中学生くらいの男子二人組。
ぴんときた。これは、こいつら狙っとるなーー。
靴の紐を結び直そうとショップのウィンドウを背にして立ち止まる。案の定、二人組はこちらを追い越したところで同じように立ち止まり、店のウィンドウを覗く(ふりをしている)。
‥‥まったく。話に夢中になりすぎるとキケンです。こっちが気づいたので、奴らはそのうち離れていった。Fulbioはスリ小僧だと思っていなかった。???て顔をしていた。
水の都に沈む夕陽の絶景は、残念ながら雲が多くて拝めなかった。それでも有名な神秘的風景や汚いところなど(中心街から離れるとドブ臭かったりするのだ)も含めて、満足のいく観光だった。Fulbioは、寒い中で歩きすぎて、プラス私の案内で気遣いが多かったためだろうが
「ズツウがシマス・・・・」
とへばっていた。ごめんねー。
さらなるメールの交流と、日本での再会を約束して、Ciao!!
3・13 サンプドリアvボローニャ@ジェノヴァ Ⅰ
イタリア2日目。本日は試合観戦日である。
Calcioモードになって、いざGenovaへ。
が。
ミラノ中央駅、ジェノヴァ行きの列車がない。またショーペロか?とお思いつつ、がしゃがしゃと変わる駅の時刻表を延々と睨む。
そして、はた、と気がついた。
Genovaって・・・・経由駅じゃん!
一生懸命に『Genova』の終点列車を待っていた私。Veneziaが終着駅だったものだから、うっかりしてしまった。大きな勘違いである。一、二本乗り過ごしたではないか~~
こんな事は、多々ある。。。
気を取り直して、ミラノを出発。Genovaまではインターシティで約1時間半、2等で12ユーロ。
改札を抜けてGenova駅前の広場に出ると、わやわやと人と車が集まっていた。マフラーを巻いたサンプサポーターの姿。とりあえず、駅のインフォメーションに入る。なんだか此処もごったがえしている。一緒の列車に乗車してきたらしい日本人観光客も続々入ってきて、狭い案内所が日本人だらけになった。苦笑。
窓口のお姉ちゃんに訊く。
「スタジアムに行きたいんですけど・・・」
すると、お姉ちゃんは
「まー、今日はスタジアムへ行く日本人が多いわよ」みたいなことをのたまわる。「みんな、ヤナギサワね」
「いや、私はナカタで・・・」
「―――oh、ナカータ。そういえば、今日はヤナギサワとナカ~タの対決だからね、新聞に出ていたわよ」みたいなことをのたまわっていたと思う。
今季はサンプドリアにヤナギ、ボローニャに中田ヒデが所属しているのだ。(だからとーぜん、私が観戦に来る訳である)ハイテンションな喋りになって新聞記事を見せてくれた。ヤナギとヒデの写真が載っていた。う~~ん、相変わらず、いまだに日本人対決が記事になっている・・。
観光mapを受け取り、行き方を教えてもらう。シャトルバスは出ていない。(どっかの雑誌に書いてあったのに)日本のガイドブックとは、路線バスのNo.が違っていた。う~~ん、信用ならない。
「34番のバスに乗って、バス停は運転手に教えてもらえばいいわ」
丁寧に教えてくれた姉ちゃんにGrazie.ついでにバスチケット売りのおじさんも同じことを言ってくれた。Grazie.
インフォメーションで居合わせた同じ目的の日本の仲間数人と連れ立ってスタジアムを目指す。この際だからと意気投合したという彼らは、バックパックでローマから来た人がいたり、サッカー観戦の個人旅行者はつわものである。ジェノバの街は坂を上がって下がってクネクネ、バスでもしばらく時間がかかる距離だ。港町のGenovaだが、スタジアムは内陸の山間の集落のようなところにあった。教えられたバス停で降りると急勾配の階段が目の前に。その彼方、下にオレンジ色の建物が見える。
あそこ、ですか?
およそ階段は百段以上あるのではなかろうか。(上る時には死ぬかも‥)慎重に降りていくと、ありました、Stadio.赤土レンガ色の四角い建物が、ストラーダを渡ったその先にそびえる。鉄格子塀の手前数箇所に地元の警察官がにこやかに談笑しながらスタンバイ。カッコは機動隊のソレである。
「なんかケイサツ多くねー?」と一緒に来た兄ちゃんA.。いや、こんなものだと思うのだが。イタリアだし。
彼によると、キケンな香り。が、とりあえずチケット。Polizaのおじさんにチケット売り場を尋ねる。
「Dove la ビリエッテリア?」
斜め後ろの方角を指して、身振り交えて親切に教えてくれたおじさん。まー、単語を拾ってだいだい把握できました。Grazie.
パニーチェのトラック屋台を通り過ぎ、見つけたビリエッテリア。細長い石の塊のような建物の壁にポツンポツンと開いた窓。窓ごとにフェンスで仕切った"通路"があり、『Nord 20Euro』などと張り紙があって、確かにそこが売り場だった。シンプルというか、さびれてるというのか。窓口のじーちゃんにあ~だこ~だと確認したら、そこは北側の入り口で、どうやらNord席(要はクルヴァ側だ)しか売ってないらしい。さすがにそこはまずい。Tribuna席を求めて、じーちゃんに教わった逆側の入り口の売り場まで歩く。ぐるっとスタジアムの外を回り、住宅街のストラーダから路地を入って正面口まで回る。先ほどと同じく細長い建物が見えた。
が。様相は一転。売り場の向かいには露店とBarが立ち並び、すでにサンプドリアサポがうじゃうじゃうじゃ・・・・。
不思議と何だか本当にキケンな香りがする‥。
同じサポーターうじゃうじゃでも、パルマの町とは全然雰囲気が違うのだ。何故??
キケン、キケン‥と皆で囁きながら、チケットTribuna2階席を25Euroで購入。ここで席が分かれることになった兄ちゃんA。無事を祈ってCiao.兄ちゃんBと露店を物色し、お土産買ったらおまけにキーホルダーを貰った。いいところだ~(笑)少し離れたBarでカプチーノ(夕方なのに;)を一杯飲んで一息つき、しばしサッカー談義に花を咲かせる。歳は同じ頃。卒業旅行で欧州蹴球めぐりの途中だそうな。
3・13 サンプドリアvボローニャ@ジェノヴァ Ⅱ
良い頃合いの時間となったので、Barを出てスタジアムに入る。メインスタンドのホーム寄り、かなりハジだった。席は選んだはずなのだが、周囲は日本人が多い。しかもヤナギユニのツアー客だ。完璧に日本人席というやつだ。兄ちゃんと「ここはやめよう」と確認しあう。
選手ウォーミングアップの時間になると、両チームの応援が始まる。北側クルバには隔離されたボローニャのティフォージ。そういえば、最初に行ったビリエッテリアは北側だったのだ。そりゃ、Polizaもいるって。
ジェノヴァのStadioは、ピッチとスタンドが近くてプレミアのピッチにも引けを取らないくらいの専用スタジアムだ。四角い囲うようなスタンドの屋根のために声や音の反響がいい。屋根の向こうにはジェノヴァの街並み、教会の一角などが見える不思議な構図である。サンプのティフォージは噂どおりにアツく、ミランやフィオレンティーナもすごいが、このStadioで繰り広げられるこの応援にはさらなる迫力を感じてしまう。屋根の造りが声を反響させているから余計感じるに違いない。なるほど。

ピッチでレギュラー組でアップをしているヒデを確認した。よしよし。ひとりほくそ笑んで、さてヤナギは・・・ベンチであった。小さいけれど、生ネルヴォや生シニョーリを確認して喜びながら、選手入場の時を迎える。はじっこから中央へと場所を移動し、途中年間シート席のおじさんたちに席を明け渡しながら、なんとか中央付近の席を確保できた。となりのじいちゃんからピーナッツを頂いたりして、郷にしたがってポリポリしていると、やがて試合開始となった。
序盤から素早いチェックで攻撃へとつなげていったのはサンプドリア。高い位置でプレスをかけ、数人で囲い込んで奪い、サイドへ展開する。ボローニャは中堅の選手のチームだからキープできる選手が少なく、奪われて攻め込まれる悪い展開になっていた。ヒデがパスを出そうにも、サンプの隊形が崩れにくいので効果的なスペースへの配球ができない。ネルヴォも思うように切り込めない。修正できないうちに2失点してすっかりサンプのペースになった。
後半、サンプのリードでヤナギを出すかな、と思っていたが、ボローニャが1点返して1点差になったところで。あ、これはだめだ。結局ヒデとヤナギは対戦することはなく。日本では、また"日本人対決ならず"とか書いているのだろう。
それにしても、やっぱりジェノヴァはアツイ。ジーちゃんもアツイ。ピーナッツをくれた隣のその人は、指笛を鳴らすわ、鳴らすわ。
選手が倒されると「ピィーーーーーー」。
審判の判定に「ピィィーーーーーーー」。
選手がミスすると「ピィィィーーーーーーーーッッ」。
耳元なんだよ・・・。うるさぁぁぁい。。
<了>